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永年にわたる資金調達コンサルティングの豊富な体験を基に、資金調達のイロハから、高度なノウハウまで、資金調達に関連する情報満載のブログです。 別に運営する「思うように資金調達ができない方へ」のデーターベース的なブログでもあります。
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【社長の錯覚③ 流動資産に対する考え方】
前回、融資の可否に多大な影響力がある格付けを,高くする重要なポイントは自己資本率であると書きましたが、今回はこの続きです。
自己資本率の数字が15%以上あれば格付けが高くなると言いましたが、この数字が本当に正しい数字なのかどうかも大変重要であると言うのが今回のお話です。

総資産の借方(左側)には資産の明細が、上から流動資産、固定資産、繰延資産の順に記載されています。この流動資産の中身も融資の可否に多大な影響があります。

 流動資産は通常、現金化しやすい順番に、上から、現金・預金・受取手形・売掛金・有価証券・在庫・その他(貸付金、未収入金、仮払金など)の順で記載されています。

流動資産の総額が一緒でも、現金・預金・受取手形・売掛金など、上の方に書いてある現金化しやすい勘定科目の数字の割合が大きくなれば大きくなるほど格付けが高くなります。(もちろん高額な現金は、現金のまま金庫などで保管することは珍しいので、通常は預金の数字の方が大きくなります。)

 たとえば極端な例ですが、現金+預金が10万円なのに、売掛金が5000万円あったり、1億の貸付金があったりしたら、不自然と思われませんか?さらにこのような売掛金や貸付金が長期間にわたり動いていない(「支払いがない」「返済がない」ことです)ような場合、本当に回収できる売掛金なのか、あるいは貸付金なのかどうか金融機関は懸念を持ちます。当然このようなバランスシートは格付けが下がり、融資を受けることができなかったり、できたとしても条件が非常に厳しくなります。

また不自然な流動資産の状況は、後日ふれる粉飾決算の懸念を抱かせることにもなりますので気をつけないといけません。

結論として言えることは、売上の回収は受取手形をできるだけ現金決済(銀行振込)にし、売掛金のサイトも短縮することが大切ですし、在庫も工夫して圧縮し、商売上避けることのできない場合もあるかもしれませんが、貸付金など懸念を抱かせるようなことは、できるだけ避けるようにすることがとても大切だと思います。

そんなことは当たり前のことだと言われるかも知れませんが、新事業を考える上でも、融資が受けやすいかどうかは重要ですので、とても大切なヒントになります。

すこし極端ない言い方かも知れませんが、手形取引や掛売り商売よりも現金商売の方が格付けは高くなる傾向があり、融資は受けやすくなりますし、総資本のところでもお話しましたが、ビジネス上あまり関係のない貸付など複雑なイメージを与えるような取引は避けるべきで、ともかくシンプルな状況で高収益な事業には融資がつきやすいと言うことです。 

★05年2月の記事
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【社長の錯覚② 固定資産に対する認識違い】
銀行の格付けをアップする方法ですが、いくつかのポイントがあり、まずお話をしたいのが、自己資本比率です。
自己資本比率とは貸借対照表の(資本の部÷総資本)で算出する数字ですが、この数字が高ければ高いほど、会社の安全性が高いと判断される重要な数字で、できれば15%以上、悪くても10%は確保したいところです。

この数字を高くする方法は、二つあります。
当然のことですが資本の部を増やすか、総資本を減額するかの二つの選択肢になります。

まず資本の部を増やすには、資本金を大きくするか、儲けて内部留保された剰余金を増やすことです。剰余金を増やすことは、よく儲けましょうと言うことですので当然なことですが、資本金を増やすこと、これがまず融資成功への第1ステップです。

お客様の貸借対照表を拝見すると、社長からの借入金が返済をされないまま、長期間にわたって借入金計上されていることが良くあります。もっと悪い場合は、借入金でも短期借入金計上をしている場合も良く見受けられます。
このような場合は税金が新たに発生するリスクがありますが、デッド・エクイティ・スワップと呼ばれる債務の資本金化をお薦めしています。
特に債務超過(資本の部がマイナスの状態)のような場合や繰損(当期未処理損失)があるような場合は、納税が圧縮できるので、ぜひおやりになれば良いと思います。
最低でも短期借入金計上だけは絶対に避けるべきですので、顧問の税理士の先生とご相談になられたらいかがでしょうか。
これは社長からの借入金だけではなく、身内の方や、役員など親しい方からの借入金も、可能な限り返済の目処がしばらく立たない借入金については、資本金にし、短期借入金の場合は長期借入金処理が大切です。
このことだけで、債務超過で銀行から門前払いされた会社が、急に優良会社に変身し、融資を受けられた例はけっこうありますので、ご検討されたらどうでしょうか?

融資成功への第2ステップとしては、総資本を減額することで、これも自己資本比率をアップする重要なポイントになります。債務の資本金化より簡単に行えることも多いのでぜひご検討をされたらいかがでしょうか。
具体的には、余計な資産は可能な限り貸借対照表(バランスシート)からはずすことで、たとえば社長の自宅を会社の固定資産計上している場合は、社長個人の所有にするか、別会社を設立してこの会社に所有権を移します。
時々見受けるのですが、社長の趣味がゴルフで、ゴルフ会員権を会社の資産にしている場合です。これなどは全く論外で、大企業ならともかく、中小企業で、余程ゴルフの関連事業でもされていない限り、事業にとっては不要な資産ですから、これは社長個人に移します。
現在は、ゴルフの会員権が複数必要以上に計上されているだけで、銀行の担当者は融資をしたくなくなるといった逸話がある位ですから、お気をつけ下さい。

要するに事業に直接関係のない資産は早々に処分するか、所有権を移します。

しかし、これだけでは総資本を圧縮するのに十分でない場合は、事業に必要な資産の中で、資産から外す方法がないかどうかを検討します。
たとえば機械設備や自動車を購入する場合、購入ではなくリースを利用するとか、固定資産の中でも高額な所有不動産、たとえば自社ビルや社員寮などをノンリコースローンでオフバランス化(バランスシートから外すこと)する方法があり、総資本を減額する重要な手段になります。


(※ノンリコースローンについては後日詳しくご案内いたしますが、要するに返済義務が不動産に出資した出資金のみに限定されたローンで、出資金や特定目的会社の設立費用が用意できるのであれば、これほど安全なローンはありません。特に地震の多い日本ではとても有効で、地震でつぶれたビルのローンを払い続けるようなことを避けることが可能になります。)

以上のように、債務の資本金化や不要資産の処分や不動産のオフバランス化を徹底してやれば、自己資本比率が高くなり、融資の確立も飛躍的に高くなり、その条件も好転しますので、ぜひ実施していただければと思います。

要するに、自社ビルなど資産が一杯あることを誇る経営から、少ない資本で効率よく稼ぐ経営にシフトしないと銀行の評価が上がらない時代になったということをご認識いただきたいと思います。

次回は、流動資産の内容で融資の確率が変わる話とノンリコースローンについてお話をしたいと思います。
また良ければ覗いてくださいね。

運転資金の調達を目的とする無担保融資のコンサルティングの現場から、日常、気のついたことや、ぜひお伝えしたいことを書いていきたいと思います。

書く内容は、融資を希望しているのに上手く調達できない社長の勘違いや錯覚に焦点をあてて、大体次のような内容でいきたいと思います。
 
・融資は100%決算書で決まる
・固定資産に対する認識違い(自己資本比率は最重要ポイント)
・粉飾決算について
・公的資金の調達について
・新規事業の調達について
・資金調達コンサルタントについて などなど

【社長の錯覚 融資は決算書で100%決まる①】

銀行の貸し渋りや貸し剥がし、あるいは銀行からの一方的な金利アップの要請など、銀行に対する風評はすこぶる悪く、実際このような要請の結果倒産に至るようなケースが増えていることはご存知の通りです。

話は飛びますが、お客様から融資のサポートをする時に、財務諸表、商業登記簿謄本、事業内容の概要のようなものをお預りするのですが、実は財務諸表を拝見しただけで、私どもの段階でも融資のサポートが可能かどうか、また融資額、金利水準、融資期間など条件まで、ほぼ80%の確率で分かります。

以上2つの話は無関係なようで実は同じことを示しており、このことに無担保融資調達を可能とする大きなヒントが隠されています。

以前は支店長とじっこんであるからとか、社長の人柄か良いからとか、仕事熱心であるとか、銀行から依頼される預金などへの協力度が高いからとか、このようなことが融資を受ける場合、本質ではないが、けっこう大切であると思われていたのではないかと思われます。
事実私も以前、多額の融資を某都市銀行から受けて事業をやっていたときは、財務内容はもちろんですが、やはり大切に考えていました。

ところがこのような情緒的で標準化できない基準が融資の可否に影響を与えたため、銀行の支店によって、あるいは担当者によって、融資の審査基準が非常にあいまいになり、このことも銀行が多額の不良債権を持つことになった原因の一つではなかったかと思います。

この反省から金融庁も融資の基準や、融資が正常債権かそうでないかなどの厳密なガイドラインを設け、このガイドラインによって銀行が運営されるよう指導していると思います。

このようなことから、無担保融資を受ける新規取引の場合も、社長の人柄や今後の事業内容よりは、直前3期の財務内容による会社の格付けが全てと思っていただいて良いと思います。
もちろんこれ以外にも、会社と役員の過去の金融上のトラブルとか、粉飾決算をしているかどうかなどのチェックはされますし、もちろん所得税や消費税の滞納があると100%融資はだめ(一部銀行では所得税の滞納については状況によって大丈夫な場合があります)なのですが、その他所在地の変更や代表者の変更状況なども影響がありますが、とにかく財務内容が100%です。

ですから最初に述べた、貸し渋りや貸し剥がし問題と融資の可否や条件が我々にも分かる現象は、財務内容をもとにした格付けによって、融資の全てのことが決まるから起きる理由なのです。
格付けが落ちたから貸し渋りや貸し剥がしが起こりますし、金利を上げられたり、また新規融資の場合は融資額やその他条件も格付けで決まります。

じゃどのような財務内容であれば良い格付けがつくのかどうか、事業パートナーの都市銀行の元支店長の話や私のコンサルティング事業の経験からお話できることを次回は書きたいと思います。
また良ければ覗いてください。失礼します。

★05年2月の記事


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プロフィール
私は資金調達コンサルティングをコア事業にした会社を、事業パートナーの都市銀行出身の元銀行マンと経営しています。 私の前職は不動賃貸業や不動産開発業の会社のオーナーで、バルブ期にはピークで約500億円の借入金があり、この処理にあたって修羅場もくぐり、この時の経験から銀行被害の方へのサポートをするようになり、このことが高じて、現在の中小企業や個人の方々の資金調達のお手伝いの仕事を始め、現在に至っています。
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