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永年にわたる資金調達コンサルティングの豊富な体験を基に、資金調達のイロハから、高度なノウハウまで、資金調達に関連する情報満載のブログです。 別に運営する「思うように資金調達ができない方へ」のデーターベース的なブログでもあります。
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 10年間資金調達コンサルティングをやっていますと、様々な業種の多くの経営者の方々とお知り合いになり、その方々の事業の成功と失敗も数多く見てきました。

そして、よくよく眺めてみると、成功する方と失敗する方には、それぞれに共通項があるように思えてなりません。
今回から何回かは、事業に成功された方と失敗された方の特徴などを、実例を中心に書いていきたいと思います。
敢えて整理しないで、できるだけ事実に直面した時の私見を中心に、感じたことをそのままお伝えしたいと思います。


事業の成功は、会社が持つ、人・物・金・情報の経営資源を最大限に生かすことであるということは、よく言われていますが、事業が成功する過程で、どの会社も起業してから2年間ぐらいは、経営資源の一つである資金の調達が非常に難しいと言うことは、前回までに書いてきた通りです。

経営資源の中でも特に「金」は、他の3つの資源を獲得したり充実するためにも、人体の血液のように不可欠なものであると私は思っていますので、異論もあると思いますが、特に創業期は最も大切な経営資源かもしれないと思っています。
経営者が成功するための最低必要条件はひょっとすると資金調達ではないでしょうか。

まず資金調達のできない典型的なパターンをいくつか書きます。本当は明るく、成功するパターンから書きたいところなのですが、失敗のパターンの方が分かりやすいですし、この反面教師として成功のパターンがある訳ですから、失敗のパターンをまずお話します。


◆資金調達のできないパターン1
「条件的に不可能な資金調達をしよう」とするパターンは、弊社に来られるお客様のなかで失敗された最も多いパターンで、創業期の経営者だけでなく、ベテランの経営者でも、状況によっては陥るパターンです。

資金を提供する金融機関も慈善事業ではなく、事業として資金提供を行うわけですから、その性格によって比重は違いますが、間接金融に絞れば、融資は、次の主なポイントのそれぞれの基準をクリアしないと、絶対に受けることができません。

1.直前3期と直近の財務内容やキャッシュフローの状況と事業内容などによる信頼性。(格付け)
2.土地など担保の信頼性。
3.代表者及び連帯保証人の信頼性。


代表的な融資も、1~3の要素を次のような比重で審査されています。
・銀行の無担保融資 
 1+3で、1が重視される
・不動産担保融資専門のファイナンス会社の融資 
 2を重点として+3と、少し1も考慮される
・商工ローン系や消費者金融系のローン 
 3をメインに1は参考程度

この3つの要素が融資を申し込む時点で、必要な資金の融資基準を上回らないと、実は全国どこの金融機関でもできないということを認識することが重要です。

(ケース1 創業期編)
3年前だったと記憶していますが、元大手通信会社の課長職だったM氏は、資本金1千万円で自動車の排気ガスクリーン機器の販売を目的とする会社を元同僚など3名で設立しました。
当初は海外の機器を製造販売する日本法人の代理店としてスタートする予定でしたが、たまたま画期的な機器の特許を申請している人を紹介され、この人と特許の独占な使用権を結び、自社で開発製造販売をする計画を持ったわけです。
要は、他社の一代理店ではなく開発製造販売というフルコースに事業を変更したわけです。
確かに、実験結果の書類を見ても、代理店契約を考えていた会社の機器を含め、その他の同業他社の機器に比べても、性能、価格で優位であるのは確かなようでした。

ところが、たちまち壁にぶつかったのは資金の問題です。資金は資本金1千万円と社長の実家から借入れた1千万円の2千万円で、事務所の保証金その他の支出を引くと、手元資金は約1千5百万円の状態でした。当初の計画ですと代理店加盟料が5百万円でしたから、残は1千万円になる予定でしたし、国民生活金融公庫から3百万円の融資も決まっていましたので、十分といえないまでも、なんとか事業を継続できる状況ではあったわけです。

ところが機器の開発製造から関わる計画を実行に移すとなると、特許の専用使用権契約料の手付金、開発費、試作品などを含めて、5千万円を新規に調達しないといけなくなり、この資金調達が上手くいかないので、弊社にご相談に見えた訳です。

ご相談に見えたのが、設立後半年程度でしたので、上記1の金融機関の格付けは取れないので、まず銀行からの調達は×ですから、開発者との契約料の支払いを先延ばしするか、この開発者からも出資できないかを確認しましたが、M氏曰く「技術が画期的なため、大手商社や自動車部品メーカーもこの開発者に接触をしてきていて、月末までには、最低この契約料の手付金2千5百万円を用意できないと、この事業機会を無くすのでなんとかお願いしたい。」と繰り返すばかりで、この月末というのがご相談を受けた日から3週間後でした。

新規に設立した会社が、新規に商品を開発する状況な訳ですから、ベンチャーキャピタルに打診するにしても、日が少なすぎますし、選択肢は次の方法しかなかったのです。

1.この契約料の支払条件を交渉して支払いを繰り延べる
2.知り合いから資金調達をする
3.不動産担保など、担保を提供するか、提供してくれる人を探す
4.契約自体を断念する

ところが、この社長は「1と4は論外。3は担保になるような物もないし頼める人もいない、2は知り合いにまだ事業がどうなるか分からないので迷惑をかけれない。」と言い張るわけです。

何度も何度も説明をして、融資をする金融機関がないということを理解した社長は、今度は「では個人で資金を提供してくれる人か、高金利でも良いから金融業者を紹介して欲しい。」という、お読みの方もヤバクなってきたと感じられるように、機器の開発製造販売のビジネスモデルに酔ってしまい、事業を構築するという冷静な判断ができない状態になっていました。

弊社はこの段階で、お手伝いはできないとお断りしたのですが、後日残はかなり悲惨で、よく調達できたと思いますが、結局のところ、いろんな数多くの街金的なところから約3千万円を借入、開発者へ契約料を支払い、試作品まではできたらしいのですが、製品化に更に5千万円程度の資金調達が必要となったそうです。
当然できないため、製品化が遅れ、資金の回収もできない訳ですから、返済や利払いも滞り、夜逃げをしたと聞きました。

また後日、全く別のお客様から、この開発者の製品は性能に問題があるだけでなく、特許の専用使用権を結ぶと言って2千万円~5千万円を取られたと人が多いと聞き、世間は狭いと感じただけでなく、なんであの社長はもっと冷静に開発者を見なかったのかと残念に思いました。

実はこの話、秘密保持の観点から、実際にあった実例を若干脚色をしていますが、80%は実話です。このパターンのケースは本当に多いので、もう少しお話させてください。次回に続きます。
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プロフィール
私は資金調達コンサルティングをコア事業にした会社を、事業パートナーの都市銀行出身の元銀行マンと経営しています。 私の前職は不動賃貸業や不動産開発業の会社のオーナーで、バルブ期にはピークで約500億円の借入金があり、この処理にあたって修羅場もくぐり、この時の経験から銀行被害の方へのサポートをするようになり、このことが高じて、現在の中小企業や個人の方々の資金調達のお手伝いの仕事を始め、現在に至っています。
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