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永年にわたる資金調達コンサルティングの豊富な体験を基に、資金調達のイロハから、高度なノウハウまで、資金調達に関連する情報満載のブログです。 別に運営する「思うように資金調達ができない方へ」のデーターベース的なブログでもあります。
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今日は事業モデル自体が資金調達が不可能という場合の話です。

資金調達コンサルティングの仕事をしていると、普段めったに会えない方々と会うことがあります。失礼とは思いますが誇大妄想としか思えない方々の話です。

・オゾン層の破壊による被害から人類を守る人工石の開発事業
・環境にやさしい自動車の代替燃料の製造販売事業
・環境破壊を守る自動車マフラーの開発製造販売事業
・末期癌も治る治療薬の開発製造販売事業
・ダイオキシンの革命的処理システム開発製造販売事業
・深層海洋水を使った海水魚養殖システム
・某国の鉱石資源の独占開発事業

内容が分かればお断りするのですが、それでも、上記のような事業の資金調達の依頼が、顧客からの紹介など、毎月1件程度はあります。

共通しているのは、だいたい次のようなことです。
・事業化するまでに時間と多額の資金調達が必要であるが、事業化すると革新的であるので、必ず大成功して1年に数千億円以上の利益が出る上、何よりも人類に多大な貢献ができる。
・資金調達の目処が全くない上、当面必要な資金の期日が近づいている。
・著名な学者や政治家も強力にバックアップの約束をしてくれている。
・技術や商品は世界唯一のものであるが、その権利はまだない。

このようなことが、不思議なぐらい、上記のほぼ全ての案件で共通しています。

もちろん実現できるだけの、人、物、金などの経営資源が用意できるのであれば、確かにビジネスチャンスだと理解もできます。
大手の上場企業のように3つの要素が豊富にある場合であれば可能かもしれませんが、全ての要素が全くないのにもかかわらず当事者が真剣になっているので驚いてしまうわけです。

もちろんご相談いただく会社が資金調達の出来る条件を持っているのかといえば、100%どころか120%無理な状況であることがほとんどです。極端な例ではご相談を受けた翌週に不渡り手形を出した会社もありました。

たとえ話をします。
あなたは、友人がすごい発明をしました(他に同様な発明があるかどうかは未確認)。ただ友人が資金も手立ても分からないので、事業化できず困っていたとします。
話を聞くと、まず開発準備に2年と5億円、更に実験に1年と5億円。それから商品化するのに工場を建築したり、営業拠点を造ったりで1年と10億円必要で、この段階から一挙に巨額の売上と利益が出ると予測したとします。
整理すると、事業化までに4年の期間と20億円の資金が必要であるが、5年目から数十億いや数百億円儲かるといった状況です。

現状あなたの会社は、競争の激化で売上も利益も低下傾向で、当面用意できる資金は500万円とします。

あなたはこの事業に参入しようと思われますか?
通常はあまりにも現実的でないので、面白そうに思っても、多分おやりにならないと思いますし、私もやりません。

でもこのような空想に近い事業の成功を求めて真剣に活動している方が、けっこういらっしゃるのも事実で、今月も1件このような案件のご相談がありました。
地方からわざわざ飛行機で来られて、関係各所と弊社をご訪問された訳ですが、よくよく聞いてみると、3年間も資金調達でいろいろな30ヶ所以上のところに打診したり相談していらっしゃるようでした。
この間ご本業は休業状態で売上はほぼゼロらしく、私はまたか・・・・・と思う以外の感想を持ち得ませんでした。

何度か書いてきたように、資金調達の条件をクリアしない資金調達は100%できないので、このことをご理解していただくように話をしましたが、(今回もそうでしたが、これも共通して言われるのが)「ビジネスチャンスが理解できないのか」と逆にお叱りを頂いたり、「この事業を分からない金融機関が馬鹿だ。」「日本はおかしい。」的な回答でした。

このような状態ですから、ご本人に言っても怒るだけなので、遠まわしにお話をしますが、「なぜあなたでなければこの事業は駄目なのか?誰がやっても成功の可能性は本当にないのか?この事業をやるだけの経営資源を本当に用意できるのか?」と言った視点を検討して、合理的な回答がでない事業への参画はリスクが大きすぎるからお止めになるか、もっと現実的なビジネスモデルができないかを検討していただきたいとお話をしたいのですが、思い込みが強く、聞く耳を持たないので本当に困りました。

一方成功する方の特徴はこの対極にあり、その時々の人・物・金+情報の経営資源に見合った、創業時ですと、ニッチでマーケットは小さいが、他者との競合がないため利益率の高いような事業に、実に良いタイミングで参入していることが言えると思います。

アドバイス
 
今日の話は、昨日書いた融資の条件の4つ目の将来性の問題でもあります。
いくら将来性があると言っていても、第三者を納得させるものでなければ、
資金調達にはつながりません。

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プロフィール
私は資金調達コンサルティングをコア事業にした会社を、事業パートナーの都市銀行出身の元銀行マンと経営しています。 私の前職は不動賃貸業や不動産開発業の会社のオーナーで、バルブ期にはピークで約500億円の借入金があり、この処理にあたって修羅場もくぐり、この時の経験から銀行被害の方へのサポートをするようになり、このことが高じて、現在の中小企業や個人の方々の資金調達のお手伝いの仕事を始め、現在に至っています。
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