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永年にわたる資金調達コンサルティングの豊富な体験を基に、資金調達のイロハから、高度なノウハウまで、資金調達に関連する情報満載のブログです。 別に運営する「思うように資金調達ができない方へ」のデーターベース的なブログでもあります。
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今日は事業モデル自体が資金調達が不可能という場合の話です。

資金調達コンサルティングの仕事をしていると、普段めったに会えない方々と会うことがあります。失礼とは思いますが誇大妄想としか思えない方々の話です。

・オゾン層の破壊による被害から人類を守る人工石の開発事業
・環境にやさしい自動車の代替燃料の製造販売事業
・環境破壊を守る自動車マフラーの開発製造販売事業
・末期癌も治る治療薬の開発製造販売事業
・ダイオキシンの革命的処理システム開発製造販売事業
・深層海洋水を使った海水魚養殖システム
・某国の鉱石資源の独占開発事業

内容が分かればお断りするのですが、それでも、上記のような事業の資金調達の依頼が、顧客からの紹介など、毎月1件程度はあります。

共通しているのは、だいたい次のようなことです。
・事業化するまでに時間と多額の資金調達が必要であるが、事業化すると革新的であるので、必ず大成功して1年に数千億円以上の利益が出る上、何よりも人類に多大な貢献ができる。
・資金調達の目処が全くない上、当面必要な資金の期日が近づいている。
・著名な学者や政治家も強力にバックアップの約束をしてくれている。
・技術や商品は世界唯一のものであるが、その権利はまだない。

このようなことが、不思議なぐらい、上記のほぼ全ての案件で共通しています。

もちろん実現できるだけの、人、物、金などの経営資源が用意できるのであれば、確かにビジネスチャンスだと理解もできます。
大手の上場企業のように3つの要素が豊富にある場合であれば可能かもしれませんが、全ての要素が全くないのにもかかわらず当事者が真剣になっているので驚いてしまうわけです。

もちろんご相談いただく会社が資金調達の出来る条件を持っているのかといえば、100%どころか120%無理な状況であることがほとんどです。極端な例ではご相談を受けた翌週に不渡り手形を出した会社もありました。

たとえ話をします。
あなたは、友人がすごい発明をしました(他に同様な発明があるかどうかは未確認)。ただ友人が資金も手立ても分からないので、事業化できず困っていたとします。
話を聞くと、まず開発準備に2年と5億円、更に実験に1年と5億円。それから商品化するのに工場を建築したり、営業拠点を造ったりで1年と10億円必要で、この段階から一挙に巨額の売上と利益が出ると予測したとします。
整理すると、事業化までに4年の期間と20億円の資金が必要であるが、5年目から数十億いや数百億円儲かるといった状況です。

現状あなたの会社は、競争の激化で売上も利益も低下傾向で、当面用意できる資金は500万円とします。

あなたはこの事業に参入しようと思われますか?
通常はあまりにも現実的でないので、面白そうに思っても、多分おやりにならないと思いますし、私もやりません。

でもこのような空想に近い事業の成功を求めて真剣に活動している方が、けっこういらっしゃるのも事実で、今月も1件このような案件のご相談がありました。
地方からわざわざ飛行機で来られて、関係各所と弊社をご訪問された訳ですが、よくよく聞いてみると、3年間も資金調達でいろいろな30ヶ所以上のところに打診したり相談していらっしゃるようでした。
この間ご本業は休業状態で売上はほぼゼロらしく、私はまたか・・・・・と思う以外の感想を持ち得ませんでした。

何度か書いてきたように、資金調達の条件をクリアしない資金調達は100%できないので、このことをご理解していただくように話をしましたが、(今回もそうでしたが、これも共通して言われるのが)「ビジネスチャンスが理解できないのか」と逆にお叱りを頂いたり、「この事業を分からない金融機関が馬鹿だ。」「日本はおかしい。」的な回答でした。

このような状態ですから、ご本人に言っても怒るだけなので、遠まわしにお話をしますが、「なぜあなたでなければこの事業は駄目なのか?誰がやっても成功の可能性は本当にないのか?この事業をやるだけの経営資源を本当に用意できるのか?」と言った視点を検討して、合理的な回答がでない事業への参画はリスクが大きすぎるからお止めになるか、もっと現実的なビジネスモデルができないかを検討していただきたいとお話をしたいのですが、思い込みが強く、聞く耳を持たないので本当に困りました。

一方成功する方の特徴はこの対極にあり、その時々の人・物・金+情報の経営資源に見合った、創業時ですと、ニッチでマーケットは小さいが、他者との競合がないため利益率の高いような事業に、実に良いタイミングで参入していることが言えると思います。

アドバイス
 
今日の話は、昨日書いた融資の条件の4つ目の将来性の問題でもあります。
いくら将来性があると言っていても、第三者を納得させるものでなければ、
資金調達にはつながりません。

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資金調達を銀行やファイナンス会社からの融資に限った場合、以前書いたように、3つの要素の各条件のいずれかをクリアしないと絶対に融資を受けることはできません。

その3つの要素とは次の通りです。
1.直前3期と直近の財務内容の信頼性。(格付け)
2.土地など担保の信頼性。
3.代表者及び連帯保証人の信頼性。

今日も関東の地方都市に拠点を置くパチンコホール経営者と面談をさせていただいたのですが、(今日のことでリアルすぎるため詳細は書けませんが)、要するに現時点では、上記3つの要素をすべてクリアできない状況でした。

ところが「今年の5月にオープンする新しい店舗開設のために、数千万円の融資をどうしても受けたい。どうしても調達できないと困る。」というご相談でした。

土地などの担保や社外の保証人は準備できないと言うことですから、財務内容を良くする以外に、金融機関からの借入はできないので、2年くらいかけて会社の組織と財務内容の改善をすすめ、5月の新店オープンのための借入は、社長の人脈の方や取引先からの調達か、あるいは割賦支払いなどでしのぐしかないとお伝えしました。

この社長、付き添いの顧問税理士の方、社長の相談相手の大手生保の中間管理職の方の3名は、社長のお知り合いからの調達と不動産を担保提供する方を探すと言うことでお帰りになりましたが、社長の表情は「これらのことは無理だ」と語っていました。

これからがよくあるケースで、違うコンサルタントや人脈の限り手を尽くして融資をしてくれる金融機関を探し回わる方が多いのです。

意地悪で言うのではありませんが、無理なものは無理で、短期間に現状の財務内容のまま、担保なし、保証人なしで貸す金融機関は100%ないというのが現状なのです。

ところが金融機関を探し回っていると、「十分可能です」というコンサルタントや先生(何の先生か?ですが・・・)が必ず現れてきます。

話を聞いた後「やはり無理です」と、無理なことを無理と言ってくれるコンサルタントなら良いのですが、次のようなうそ(場合によってはコンサルタント自身ができると信じている場合もあります)を言うのが意外と多いので要注意なのです。

2種類いまして、権威型コンサルタントと、無能じらしコンサルタントと、この融合型もいます。

◆権威型コンサルタント
・政治家、著名人、銀行のトップと親しい人から金融機関に言ってもらうと一発で融資が決まる。
・政治団体、組合、宗教団体が団体交渉力で無理な融資でも、融資を受けるようにしてくれる。

この権威型の多くは、先にお礼、運動費、入会金、加盟料の名目で数万円~数百万円の着手金的な支払いが必要であったり、融資ができた場合には、法律違反の高額な、場合によっては融資額の30%も、更に最悪な場合は、領収書発行なしの条件で手数料の支払いを求められたりすることがあります。
ほぼ融資が実行されることはなく、結局のところ着手金を商売としているとしか思えないことが多いので要注意です。

◆無能、じらしコンサルタント
権威型のようにお金を先に取ったりせず、まじめに銀行に打診したりはするのですが、持ち込む金融機関の数が少なかったりするため、全く金融機関のニーズと違う案件を持ち込んだり、もともと無理な財務内容なのに持ち込むため、融資は99%出ることはありません。
ただこの手の方は、駄目と言う結論が分かっていても、なぜかもったいぶると言うか、クロージングをしないで、「検討中」「検討中」と年中言ってる方が多いので不思議です。これも大変迷惑な話ですので要注意です。

いずれにしても社長はできるはずのない融資を待ち続けてしまい、事業の予定を大幅に狂わしてしまうのです。
ひどい場合(実話です)権威型のコンサルタントから融資実行が決定したと言われ、この融資をあてにして、土地購入の契約締結と手付金の支払いをしてしまい、融資がうそであったため、手付金1億円をなくした方がいます。この方の会社はこのことが引き金になって半年後に倒産してしまいました。

もちろん、できもしない融資を「できる」というコンサルタントは一番悪いのに決まっていますが、このようなコンサルタントにつけ込まれる社長の責任も大きいと思います。

資金調達は、無理なものはどこに持って行っても無理ということを肝に銘じていただき、冷静に次善の策をお考えになり、騙されて着手金を取られたり、経営判断を間違わないようになさって欲しいと思います。

アドバイス 
資金調達の条件は、
1.直前3期と直近の財務内容の信頼性。(格付け)
2.土地など担保の信頼性。
3.代表者及び連帯保証人の信頼性。
の3つと書いていますが、将来性と言う条件を加え4つあると思ってくださいね。

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前回の続きです。
今回は、前回のM氏のどこが判断としてまずかったのか、整理してみたいと思います。

申し分けありませんが、前回の(ケース1 創業期編)を今一度読み返してください。

まず一代理店よりビジネスチャンスが期待できる開発製造販売事業に変更されたことは、決して誤りではないと思います。
ファナンスの面でも、他社の代理店としての事業よりも、オリジナルティーのある開発製造販売事業の方が、有利であることは事実です。このことの詳細は別の機会にお話しすることになると思います。

ところが今回の場合は次の点で判断に誤りがあったのではないかと思います。
①資金の確保なく、新しいビジネスに参入した。
②資金調達の時間的な余裕がなかった。
③事業の根幹になる機器の開発者の技術や人物の調査ができていなかった。
他にも要因があるかもしれませんが、主な誤りはこの三つだと思います。

①②③の要素はそれぞれリンクしていますが、一つ一つの要素をもう少し説明いたしますと次のようになると思います。

①の観点から
簡単に言えば順番が違ったと言うことです。計画する事業の予算を考え、必要な資金手当てができることを確認してから、この事業に参入することを決定するところを、まず「何が何でもこの事業に参入するぞ」と決定して、それから必要資金の手当てに奔走するというように順番が逆になってしまっています。

②の観点から
ですから事業参入を決定しているため、その事業に参入できるための必要条件と思い、開発者への契約料の支払いを絶対なことと考えた上、支払期日が3週間後と言う切迫した状況を作ってしまい、たとえば人脈から出資や社債の形で調達するとか、ベンチャーキャピタルからの出資を検討するとかの選択肢を、時間的な成約で閉ざしてしまったことが、高利の資金調達につながったと思います。

③の観点から
参入する事業の選択時に、やらなければならない調査を十分にすることなく、開発者の言動のみで信用してしてしまった結果、破綻してしまったわけですが、もし低利の資金調達ができていたとしても、事業が成立しなかった可能性が高かったと思われます。

ご相談に来られるお客様のお話を拝聴していますと、新規事業として様々なインチキくさい事業のお誘いもあるようです。
特に現在のような変化の時代は、既存事業に行き詰ったり、変革を求めて新規事業を考えないといけない場合もあると思いますが、この新規事業に参画し成功するのは結構大変です。
まず新規事業の資金調達が結構難しく、この例として最近あった実例をご案内いたします。

(ケース2 ベテラン編)
地方都市で20年にわたり広告代理店を経営されているA氏は、事業内容は新聞チラシ広告のウェイトが大きく、媒体の多様化や革新によって、ここ3年程前から売上利益とも横ばいから若干下降気味になっていました。
この時点でのA氏の会社の年商は直前期で2億5千万円、収支はトントンという状況でした。

たまたまA氏が所属するライオンズクラブに新規加入してきた、環境リサイクル事業をフランチャイズシステムのフランチャイジーのような形で経営するB氏と懇意になり、A氏は、B氏の事業内容をよく見聞きするうちに、自分の事業に限界を感じていたこともあって、B氏の事業が自分の事業よりも数段将来性があるように感じたと言います。

フランチャイズシステムならA氏も事業参入が可能と思い、必要な資金を確認したところ、土地建物、機械設備、運転資金などで2億円程度の資金調達が必要であると分かりました。

A氏は、地元の地銀や信金とは良好な取引を継続しており、公的資金を含めて7千万円の借入金があり、新規調達可能額は1千万円でした。

当然2億円-1千万円ですから、1億9千万円を調達しないと新規事業に参入できないため、新規調達先からの調達を弊社にご相談に見えた訳です。

まず弊社としては
①事業の根幹となる技術に対する信頼性と差別化ポイントの確認、事業計画の収益性、実現性、将来性を確認調査しましたが、確かにリサイクル事業の拠点をどこに置くかで、売上利益とも変わるものの、その可能性は高い事業と確認しました。

②A氏の会社の現状から、A氏単独では無理と判断して、資金提供の可能な事業パートナーを見つけることができないか?(できれば一人でもリサイクル事業に関連のある事業をやっている人が相応しい。)
また土地を借地でできないか?
以上2点を確認しました。
    
②の二つのポイントが可能であれば、建物は割賦、機械設備はリースで処理すれば、きついなりにこの事業の収益性から見て、実現の可能性があると思い、事業パートナーと土地の借地のポイントをご提案しました。

ところがA氏は残念ながら、利益が少なくなることと、人間関係の悪化を懸念して、どうしても最初は自分一人でやりたいので、ともかく、どこかから融資を、融資が駄目なら、資金提供をしてくれる会社か個人の方がいないかと、前回の創業期編のM氏と同じような状況になってきました。

地元の主な金融機関とは取引があるため、まず可能性のある都市銀行2行に無担保で運転資金の調達が可能かどうかを打診しました。

概算ですが、都市銀行の無担保融資は条件を満たせば、月商の1~2ヶ月が可能ですので、2行で4千万円~MAX8千万円の可能性がありますので打診したのですが、両行から融資は断られました。
この理由は何度もお話をしております自己資本率の低さと利益額の少なさが原因だったと思われます。

A氏は趣味がゴルフのため、4つのコースの会員券と自宅マンションが資産計上されており内部留保もないので自己資本比率が低く、業績の低迷で利益額の低さと相まって、非常に低い格付けとなったと思われます。

2行からの調達が難しいと言うことが分かった段階で、A氏単独では止めた方がよいとお薦めしましたが、聞き入れられず、お手伝いをこの時点でお断りをしました。

A氏はこの後とんでもないコンサルタントに500万円を騙し取られるのですが、この時点でリサイクル事業参入を一旦取りやめ、再度弊社にご相談いただくこととなり、その後は3名の事業パートナーを得て、今年の夏に開業予定となっています。
ただA氏にとっては今までの事業と全く違う分野の事業参入ですので、既存取引の金融機関には受け入れられていないため、本当に成功できるかどうかはこれからの状態です。

なんだ失敗の例ではないかと思われると思いますが、A氏の場合は前回のM氏の場合に比べて、資金の期限が切迫していなかったことが幸いしたのと、A氏長年の経験もあって、冷静さを失わず高利の資金に手を出さなかったことが致命傷にならなかったのだと思います。

でも500万円を騙し取られたのは、本当にもったいないと思われませんか?

自分も同業なので、偉そうなことは言えないのですが、絶対に不可能な資金調達を求めると、このようなコンサルタントに取り込まれるというお話を次回は書きたいと思います。
 10年間資金調達コンサルティングをやっていますと、様々な業種の多くの経営者の方々とお知り合いになり、その方々の事業の成功と失敗も数多く見てきました。

そして、よくよく眺めてみると、成功する方と失敗する方には、それぞれに共通項があるように思えてなりません。
今回から何回かは、事業に成功された方と失敗された方の特徴などを、実例を中心に書いていきたいと思います。
敢えて整理しないで、できるだけ事実に直面した時の私見を中心に、感じたことをそのままお伝えしたいと思います。


事業の成功は、会社が持つ、人・物・金・情報の経営資源を最大限に生かすことであるということは、よく言われていますが、事業が成功する過程で、どの会社も起業してから2年間ぐらいは、経営資源の一つである資金の調達が非常に難しいと言うことは、前回までに書いてきた通りです。

経営資源の中でも特に「金」は、他の3つの資源を獲得したり充実するためにも、人体の血液のように不可欠なものであると私は思っていますので、異論もあると思いますが、特に創業期は最も大切な経営資源かもしれないと思っています。
経営者が成功するための最低必要条件はひょっとすると資金調達ではないでしょうか。

まず資金調達のできない典型的なパターンをいくつか書きます。本当は明るく、成功するパターンから書きたいところなのですが、失敗のパターンの方が分かりやすいですし、この反面教師として成功のパターンがある訳ですから、失敗のパターンをまずお話します。


◆資金調達のできないパターン1
「条件的に不可能な資金調達をしよう」とするパターンは、弊社に来られるお客様のなかで失敗された最も多いパターンで、創業期の経営者だけでなく、ベテランの経営者でも、状況によっては陥るパターンです。

資金を提供する金融機関も慈善事業ではなく、事業として資金提供を行うわけですから、その性格によって比重は違いますが、間接金融に絞れば、融資は、次の主なポイントのそれぞれの基準をクリアしないと、絶対に受けることができません。

1.直前3期と直近の財務内容やキャッシュフローの状況と事業内容などによる信頼性。(格付け)
2.土地など担保の信頼性。
3.代表者及び連帯保証人の信頼性。


代表的な融資も、1~3の要素を次のような比重で審査されています。
・銀行の無担保融資 
 1+3で、1が重視される
・不動産担保融資専門のファイナンス会社の融資 
 2を重点として+3と、少し1も考慮される
・商工ローン系や消費者金融系のローン 
 3をメインに1は参考程度

この3つの要素が融資を申し込む時点で、必要な資金の融資基準を上回らないと、実は全国どこの金融機関でもできないということを認識することが重要です。

(ケース1 創業期編)
3年前だったと記憶していますが、元大手通信会社の課長職だったM氏は、資本金1千万円で自動車の排気ガスクリーン機器の販売を目的とする会社を元同僚など3名で設立しました。
当初は海外の機器を製造販売する日本法人の代理店としてスタートする予定でしたが、たまたま画期的な機器の特許を申請している人を紹介され、この人と特許の独占な使用権を結び、自社で開発製造販売をする計画を持ったわけです。
要は、他社の一代理店ではなく開発製造販売というフルコースに事業を変更したわけです。
確かに、実験結果の書類を見ても、代理店契約を考えていた会社の機器を含め、その他の同業他社の機器に比べても、性能、価格で優位であるのは確かなようでした。

ところが、たちまち壁にぶつかったのは資金の問題です。資金は資本金1千万円と社長の実家から借入れた1千万円の2千万円で、事務所の保証金その他の支出を引くと、手元資金は約1千5百万円の状態でした。当初の計画ですと代理店加盟料が5百万円でしたから、残は1千万円になる予定でしたし、国民生活金融公庫から3百万円の融資も決まっていましたので、十分といえないまでも、なんとか事業を継続できる状況ではあったわけです。

ところが機器の開発製造から関わる計画を実行に移すとなると、特許の専用使用権契約料の手付金、開発費、試作品などを含めて、5千万円を新規に調達しないといけなくなり、この資金調達が上手くいかないので、弊社にご相談に見えた訳です。

ご相談に見えたのが、設立後半年程度でしたので、上記1の金融機関の格付けは取れないので、まず銀行からの調達は×ですから、開発者との契約料の支払いを先延ばしするか、この開発者からも出資できないかを確認しましたが、M氏曰く「技術が画期的なため、大手商社や自動車部品メーカーもこの開発者に接触をしてきていて、月末までには、最低この契約料の手付金2千5百万円を用意できないと、この事業機会を無くすのでなんとかお願いしたい。」と繰り返すばかりで、この月末というのがご相談を受けた日から3週間後でした。

新規に設立した会社が、新規に商品を開発する状況な訳ですから、ベンチャーキャピタルに打診するにしても、日が少なすぎますし、選択肢は次の方法しかなかったのです。

1.この契約料の支払条件を交渉して支払いを繰り延べる
2.知り合いから資金調達をする
3.不動産担保など、担保を提供するか、提供してくれる人を探す
4.契約自体を断念する

ところが、この社長は「1と4は論外。3は担保になるような物もないし頼める人もいない、2は知り合いにまだ事業がどうなるか分からないので迷惑をかけれない。」と言い張るわけです。

何度も何度も説明をして、融資をする金融機関がないということを理解した社長は、今度は「では個人で資金を提供してくれる人か、高金利でも良いから金融業者を紹介して欲しい。」という、お読みの方もヤバクなってきたと感じられるように、機器の開発製造販売のビジネスモデルに酔ってしまい、事業を構築するという冷静な判断ができない状態になっていました。

弊社はこの段階で、お手伝いはできないとお断りしたのですが、後日残はかなり悲惨で、よく調達できたと思いますが、結局のところ、いろんな数多くの街金的なところから約3千万円を借入、開発者へ契約料を支払い、試作品まではできたらしいのですが、製品化に更に5千万円程度の資金調達が必要となったそうです。
当然できないため、製品化が遅れ、資金の回収もできない訳ですから、返済や利払いも滞り、夜逃げをしたと聞きました。

また後日、全く別のお客様から、この開発者の製品は性能に問題があるだけでなく、特許の専用使用権を結ぶと言って2千万円~5千万円を取られたと人が多いと聞き、世間は狭いと感じただけでなく、なんであの社長はもっと冷静に開発者を見なかったのかと残念に思いました。

実はこの話、秘密保持の観点から、実際にあった実例を若干脚色をしていますが、80%は実話です。このパターンのケースは本当に多いので、もう少しお話させてください。次回に続きます。
ここ数年都市銀行が中小企業に対して、無担保ローンを積極的にサービスするようになったのは、大変良いことと思います。
三井住友、UFJ、みずほ、東京三菱の順に順次導入されてきました。

銀行にもよりますが、債務超過でなく、3期分の決算書を提出でき、納税を完納していて、代表者など役員に金融上のトラブルがなく、取り扱う銀行の支店や部署の近隣に所在する企業に対しては、概ね月商の1~2ヶ月を融資するようになったわけですが、この良い傾向を逆手にとる悪徳の輩も多く、税務署の受印のある税務申告書からBS、PL、勘定科目明細まで全てを作り直すような会社、あるいはこれをサポートするコンサルタントまで現れ、けっこう銀行の間では問題になっています。

弊社にも、残念なことですが、相当数の粉飾決算案件が紹介されてきたことがあります。
もちろん私どもでも怪しいと思う案件については、チェックしお断りしていますが、我々のチェックをパスして銀行に打診したこともあり、本当に残念なことですが、融資後粉飾の分かったケースも数社あります。

今までの経験では、我々のチェックを掻い潜っても、銀行のチェックで99%見抜かれていますし、融資後1年以内に指摘され、未来永劫銀行取引が難しくなって倒産した会社も多数見てきています。

絶対に粉飾決算はしないことです。社長の方々は資金繰りが厳しくなったり、ビジネスチャンスが大きい新規事業を目の当たりにすると、後先を考えず、粉飾決算の誘惑に負けるのでしょうが、よほど無能な銀行の担当者か、業務に対するモチベーションの下がった担当者でない限りは100%チェックできています。
上記数件融資後に粉飾の分かった案件を取り扱ったのは、名前は出せませんが、特定の銀行の特定の担当者の時のもので、以前のように何が何でも中小企業への無担保ローンの残高を増やさないといけないような状況下は別として、そこそこ無担保ローンの残高も増えた現状では、以前にも増して厳しい審査がなされていますので、粉飾決算で融資を取り込むことは、ほぼできないとお考えいただきたいと思います。

粉飾している決算書の多くは、大体の場合売上高を増額しています。ただ流動資産の部が異常なスタイルになることが多く、消費税の申告書との照合をすると、ほとんどの場合は売上のかさ上げを発見できます。他にもいろいろチェックの方法があるのですが、これを参考に粉飾の参考にされる懸念がありますので、詳細は止しておきますが、詐欺罪が適用される法律違反でもありますし、ともかく融資を成功できる可能性よりも、未来を失う危険性のほうが圧倒的に高いので、絶対に粉飾決算はお止めいただきたいと思っています。

債務超過であっても、ある都銀は、税理士のチェックシートなどを添付することを条件に案件によっては融資をするサービスをしていますし、税金の未納があっても、消費税の未納はだめですが、所得税の未納であれば、案件によっては融資につながることもあります。

以上のことから、リスクが非常に大きい粉飾決算には絶対に手を出さないで下さい。資金調達の方法はけっこういろいろありますので、コンサルタントなどにご相談されたり、研究されたら良い方法が見つかると思います。
★05年2月の記事
現在マイホームの一戸建てやマンションの一室への不動産評価は、広尾とか南青山、白金といった超ブランドの地域以外はかなり厳しいものとなっています。

ただ住宅に対する日本人特有の所有傾向は無視できない上、賃貸住宅やマンションには優良な物件が少ないことや、借りるための審査が必要以上に厳しかったり、ペットを飼うこと一つとっても不自由なことも多いため、多くの方々が、将来不安の中、また生活費を削るなど無理を承知で多額の借入をしてまで、住宅を購入されているのだと思います。

ただ資金調達コンサルティングの仕事の中で感じるところは、自己資金なら良いが、現時点では、上記地域以外では、借入なら購入は控えた方が良いと言うのが偽りのない感想です。
本当に現在の住宅の市場はかなり厳しいです。さらに将来はもっともっと厳しくなるという予想が我々の業界では常識になっております。

資金調達のお客様からご相談を受ける中で、自宅を担保に資金調達をしたいと希望されることは数多くあります。
しかし、自宅を担保に新規に借入が可能となることは、10年以内の取得物件では、ほぼ確率がないのが現状です。新規の調達どころか、住宅の返済が滞ったため、会社の調達にまで悪影響を及ぼしていることの事例の方が圧倒的に多く、会社にお勤めの方は収入が比較的安定しているので破綻するケースは少ないはずですが、世間でうらやむような会社の幹部の方から、個人の資金調達の件で、それもかなり深刻な内容のご相談を受けることが、ここのところ激増しています。

やはり、年収の減額、年金などの将来不安、生涯雇用の崩壊、もちろん失業、左遷なども影響しているのだと思います。

個人の住宅の評価も、前回投資物件でご説明したように、住宅を他人に貸した場合にいくらの家賃が取れるかどうかといった、やはり収益還元法で不動産の価値を算出しますので、少子化や人口削減傾向のトレンドとも合間って、結果として割高に購入されていることの方がが多く、借入額の割合の少ない方は良いのですが、税金の優遇措置などもあって、急いで自己資金が少なく、90%は借入といったケースの場合、かなりリスクの高い買物をした結果となっています。

そろそろ、マイホームの取得は、「男の甲斐性」的な発想から、純粋な投資の観点から見直す時代になってきたと、慎重に検討されることを強くお薦めいたすところです。

マイホームが原因で、ブラックになっている方の数は、多分多くの方々が予想される数字を遥かに超えているようです。
このような結果失業して、起業したくても資金調達ができなくて、八方ふさがりになっている事例を多く見てきていますので、マイホームの取得は、ぜひ慎重になさることをお薦めいたします。

購入して安全な目安は、借入比率が取得価格の30%以内の場合とお考えいただければ良いと思います。
なぜなら、私見ですが、通常の住宅(東京の超高級住宅地以外)は、10年以内に現在の地価の1/3と見ているからです。
 

★05年2月の記事
【社長の錯覚④ 不動産の見方】

不動産に対する見方を、私の付き合っている銀行や金融会社の見方を参考に、
資金調達コンサルティングの現場から感じる不動産の見方について今日は書きたいと思います。

1回目のブログでも書きましたように、私は1990年頃、いわゆるバブルと言われた時期に、某都市銀行の協力を得て、ピーク時には30棟ほどの商業ビルやマンションビルに投資していた時期があります。その後バブル崩壊で全てを失いましたので、私は大失敗者です。ですから不動産の見方に対して、ひょっとするとネガティブな方向にどうしても偏向している可能性もありますので、この点はぜひご認識いただきながらお読み下さい。

金融機関の不動産の見方を一言で言うと、かけがえのない、持っているだけで信用力をオーナに与える資産から、収益を生む資産に過ぎないものとなったと言うのが実状です。特に土地は収益を生むための一つ材料として捉えています。
ですから、収益の上がらない不動産の価値は極端に言うとゼロと考えているのではないのかと思います。

時々お聞きになると思いますが、現在の不動産の価値は、収益還元法で計算されます。
たとえばある商業ビルの年間の受取家賃が月200万、年収で2400万円、室を借りるテナントから預かる保証金が1000万円~2000万円とします。
評価は、路線化や公示価格といった価格を参考にするのではなく、いくら家賃を取れる不動産かで算出します。
もちろん地域によって、テナントがすぐに入る立地かどうか?また新しく入るテナントの家賃の相場の高低、不動産の買手が感じる「購入する不動産の利回りへの期待値」が違うため、実際に不動産担保ローン専門の金融機関が行う不動産評価算出方法で4つの地域の不動産評価を算出してみます。

A地域の物件 利回りが6~8%前後で買い手がつく地域
 例:東京の千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区の一等地など
 評価:3億2千万円
・2400万円÷0.07(7%)≒3億4千万円 
・3億4千万円-2千万円(保証金)≒3億2千万円

B地域の物件 利回りが8~10%前後で買い手がつく地域
例:東京のAの地域以外の区、大阪、名古屋の超一等地など
 評価:2億6千5百万円
 ・2400万円÷0.09(9%)≒2億8千万円
 ・2億8千万円-1千5百万円(保証金)≒2億6千5百万円

C地域の物件 利回りが10~12%前後で買い手がつく地域
例:AB以外の首都圏の一等地、他の政令指定都市の一等地など
 評価:2億3千万円
 ・2400万円÷0.09(10%)≒2億4千万円
 ・2億4千万円-1千万円(保証金)≒2億3千万円

D地域の物件 利回りが12~15%前後で買い手がつく地域
例:地方の県庁所在地レベルの都市の一等地、政令指定都市の準一等地など
 評価:1億9千5百万円 
 ・2400万円÷0.12(12%)≒2億円
 ・2億円-5百万円(保証金)≒1億9千5百万円

上記以外の地域にお住まいの方には本当に申し訳ないのですが、上記以外の不動産の価値については、地元の銀行や信用金庫などは評価を認め、融資を受ける会社の事業性や財務内容を勘案して融資につながる可能性はありますが、純粋に不動産価値だけを担保に融資する全国レベルの不動産担保ローン専門の金融機関は、基本的には上記以外の地域の不動産について、価値は測定不能と判断し、融資をしないのが現状です。

ではなぜこのような、一見不条理とも思える判断をするのかといえば、いくつか理由があります。
1.マクロ的に見て、まだ日本の土地は高すぎる
2.少子高齢化や2007年から人口が減る問題
3.日本の経済力低下
4.東京など大都市と地方の格差拡大傾向


以上のような判断のもと、2007~8年頃までは、今の不動産価格が維持されるものの、それ以降は、収益性の高い一等地以外の不動産価格は大幅に下がるかも知れないと予測しているからです。もちろん不動産価格は様々な要因で変化するため、逆に不動産価格が上がる可能性も皆無とはいえませんが、可能性は低いと判断しています。

次回もこの続きで、住むための住宅やマンションの購入についてお話をしたいと思います。
宜しければまた覗いてみてください。

★05年2月の記事
【社長の錯覚③ 流動資産に対する考え方】
前回、融資の可否に多大な影響力がある格付けを,高くする重要なポイントは自己資本率であると書きましたが、今回はこの続きです。
自己資本率の数字が15%以上あれば格付けが高くなると言いましたが、この数字が本当に正しい数字なのかどうかも大変重要であると言うのが今回のお話です。

総資産の借方(左側)には資産の明細が、上から流動資産、固定資産、繰延資産の順に記載されています。この流動資産の中身も融資の可否に多大な影響があります。

 流動資産は通常、現金化しやすい順番に、上から、現金・預金・受取手形・売掛金・有価証券・在庫・その他(貸付金、未収入金、仮払金など)の順で記載されています。

流動資産の総額が一緒でも、現金・預金・受取手形・売掛金など、上の方に書いてある現金化しやすい勘定科目の数字の割合が大きくなれば大きくなるほど格付けが高くなります。(もちろん高額な現金は、現金のまま金庫などで保管することは珍しいので、通常は預金の数字の方が大きくなります。)

 たとえば極端な例ですが、現金+預金が10万円なのに、売掛金が5000万円あったり、1億の貸付金があったりしたら、不自然と思われませんか?さらにこのような売掛金や貸付金が長期間にわたり動いていない(「支払いがない」「返済がない」ことです)ような場合、本当に回収できる売掛金なのか、あるいは貸付金なのかどうか金融機関は懸念を持ちます。当然このようなバランスシートは格付けが下がり、融資を受けることができなかったり、できたとしても条件が非常に厳しくなります。

また不自然な流動資産の状況は、後日ふれる粉飾決算の懸念を抱かせることにもなりますので気をつけないといけません。

結論として言えることは、売上の回収は受取手形をできるだけ現金決済(銀行振込)にし、売掛金のサイトも短縮することが大切ですし、在庫も工夫して圧縮し、商売上避けることのできない場合もあるかもしれませんが、貸付金など懸念を抱かせるようなことは、できるだけ避けるようにすることがとても大切だと思います。

そんなことは当たり前のことだと言われるかも知れませんが、新事業を考える上でも、融資が受けやすいかどうかは重要ですので、とても大切なヒントになります。

すこし極端ない言い方かも知れませんが、手形取引や掛売り商売よりも現金商売の方が格付けは高くなる傾向があり、融資は受けやすくなりますし、総資本のところでもお話しましたが、ビジネス上あまり関係のない貸付など複雑なイメージを与えるような取引は避けるべきで、ともかくシンプルな状況で高収益な事業には融資がつきやすいと言うことです。 

★05年2月の記事


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プロフィール
私は資金調達コンサルティングをコア事業にした会社を、事業パートナーの都市銀行出身の元銀行マンと経営しています。 私の前職は不動賃貸業や不動産開発業の会社のオーナーで、バルブ期にはピークで約500億円の借入金があり、この処理にあたって修羅場もくぐり、この時の経験から銀行被害の方へのサポートをするようになり、このことが高じて、現在の中小企業や個人の方々の資金調達のお手伝いの仕事を始め、現在に至っています。
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